地図とコンパス

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なぜ浮気をするのか。浮気や不倫はなぜ悪いことなのか

今年に入ってから、芸能界の不倫や浮気に関するスキャンダルの話題が数多くでてきた。謝罪会見、活動自粛など、僕たちにしてみれば一体なんの意味があるんだろうというような話題で騒がれた。

実際、芸能人のプライベートをスキャンダルにして騒ぐのは、週刊誌やテレビ局の策略といえる。テレビをみていると芸能人の不倫スキャンダルは他のニュース(大統領選など)なんかよりよほど重大なことかのように扱われているが、実際に騒いでいるのは、メディアや利害関係者、あとは暇な大衆だけだろう。

一部の利害関係者と暇な大衆だけが不倫スキャンダルで騒いでいるといっても、日本の社会が不倫や浮気を”良くないこと”としているのは確かだ。また、週刊誌が毎週記事を書くのに事欠かないくらいに、不倫や浮気のネタは社会に溢れている。

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上に示すように、浮気や不倫に関する議論は盛り上がる。しかし、道徳論や常識論で片付けられてしまうことが多く、本質的な議論をすることは難しい。

 なぜ僕たち(特に男)は不倫や浮気をしてしまうのだろう?なぜ不倫や浮気は”良くないこと”なのだろう?自分なりにちょっとだけ考えてみることにした。

 

一般的に女性より男の方が浮気をしやすいと言われている。女性は男の浮気に翻弄され悲しみを募らせる。

男が浮気をしやすいのには生物学的理由があると言われている。女性は生殖細胞を一個しかもっていないのに対し、男は数億個の生殖細胞を数日でつくることができる。また、卵子をもつ女性は男に比べて体内の子どもに対してより多くの投資をしなくてはいけない。そのため、女性は受精してからのリスクが高いので相手を慎重に選ぼうとするが、男は生殖細胞をより多く卵子に到達させようと行動する。より多くの卵子、つまり女を求める。

体内受精をする哺乳類では、体重に対する精巣の重さの割合が恋愛形態に関係していると言われている。精巣の重さの割合で比較すると、ヒトは乱婚のチンパンジーと一夫多妻のゴリラの間に位置する。乱婚のチンパンジーは精子競争をするため大量の精子を必要とし、一夫多妻のゴリラはオス同士の競争に勝つ必要があるため体が大きくなるというわけだ。この考え方では、ヒトには乱婚の可能性があることが示唆される。

ただ、生物学的特徴だけで男と女の性向差の理由を一概に決めることはできないのは確かだ。人間は他の動物とは違い、社会性をもつ種だ。動物の本能の部分と向社会的思考(理性)がせめぎあっているのが人間だ。生物学的観点から男の浮気を正当化して良いというわけではない。ただ、男が浮気をする本能をもつことは否定出来ない。

女性も浮気や不倫をする場合がる。これは、社会的な不満に原因があると考えるといいだろう。男のように生殖目的で異性を求めるのではなく、寂しさや不満足を埋め合わせるために他の異性を求める。女性が他の異性と行う性交は生殖目的ではなく、感情の充足のために行う。

恋愛に関する生物学的な説明は、以下の文献に面白く書かれています。

利己的な遺伝子 <増補新装版>  

ぼくは愛を証明しようと思う。 

脳内麻薬-人間を支配する快楽物質ドーパミンの正体

男は生物学的に多数の異性と交わるのを好む。では、なぜ不倫や浮気が良くないという価値観が現代社会にはあるのだろう?

一つは、一夫一婦制が法律によって定められていることにある。多数の妻をもつことは法律上できないよういなっている。また、結婚している男または女が他の異性と恋愛関係にあり、相手方が訴えた場合は、訴えられた側は不利な立場になることが多い。多くの異性と関係をもつことは、一夫一婦制に反するためたとえ独身時代であっても良くないと認識される。

だが、一夫一婦制は、最も正しい制度というわけではない。世界には一夫多妻制や一妻多夫制があるし、日本でも一夫多妻制が法律で決められたのは明治時代に入ってからだ。男女が一対一で一生過ごすという生き方は、世界標準でもないし、絶対的な正当性をもっているわけでもないことを忘れてはいけない。

純愛を美化する宗教や文化は、浮気や不倫は良くないという価値観を社会に浸透させた。キリスト教は純愛、というより純潔を良しとする宗教であり、江戸時代から日本に普及するようになってから、美化された恋愛価値観が社会に浸透した。一生ひとりの人に寄り添い、肉欲を封じながら生きていく価値観はある意味特殊であり、ニーチェに言わせればルサンチマンだということになるのだろう。また、純愛をテーマにした小説や映画が人の心を打つために、純愛至上主義という考え方が社会に浸透したと考えられる。

忘れてはならないのは、人間の感情だ。自分が一人でいる間に、相手が他人と仲良くしていると考えるのは、あまり気持ちのいいことではない。人間の「寂しい」という単純な感情を刺激するため、浮気や不倫は悪いことという価値観が形成されていったのだろう。

 

いろいろな理由があるだろうが、今年にはいってからの過剰なスキャンダルのような場合に限って言えば、僕たちが不倫や浮気に騒ぐのは植え付けられた貞操観念という拘束を破っている人達に単純に興味をもつからなのではないかと思ってしまう。

それはあたかも、お金持ちがどんな人柄なのかを知りたがるように。優秀なスポーツ選手をみんなが知りたがり称えるように。

人間は、自分にはない能力をもつ人や、自分にはできない生き方をしている人に興味をもつ性向がある。

貞操観念という拘束を破る勇気と才能をもった人間に興味をもち、僕たちは彼らを、表面ではけなしながらも心のどこかでは賛美しているのではないだろうか。

 

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