「17歳の地図」③ 17の憂鬱
”17のしゃがれたブルースを聴きながら”
なんともいかした(うがってみれば厨二病的な)科白で始まる。しゃがれたブルースというのは、タバコが原因で嗄れた、もしくは桑田佳祐ぽくかっこつけてしゃがれた声でうたっている自分の声、ということか。
”街角の俺たちの頑なな心と黒い瞳には悲しい影が”
ここで「俺」という一人称ではなく「俺たち」としている。”愚痴をこぼせばみんな同じ”ことをいうように、彼らの仲間は楽しみも寂しい影(憂鬱)も共有していたということだ。
彼らの憂鬱とは一体なんだろう。
”親の背中にひたむきさを感じ”始めた、ということは、社会で生き、自分たち子供を育ててきたという裏にはたくさんの苦労があったということを知り始めたということを意味している。
いままでは学校で生き、先生や校則で縛られた生活をしていて、ただ”一時の笑顔を疲れも知らず走り回って”いたけれども、
「おや、大人として生きるというのもいいものじゃなさそうだぞ」
と気づき始めたということか。
そんなことを考え始めると、”なんのために生きているのかわからなくなる”。
そんな自分を、”この街”は進んで受け入れてくれそうにない。だった、大人たちの様子をみていると決して楽しそうじゃないから。
彼らの憂鬱とは、学校に縛られた今から解放されても後に待ち受ける社会に対する不安ということだ。