【世界はどうなっているのか】2−2 ニュートン力学
高校物理は嫌いだった?
僕は数学的になんとなく理解できたからよかったが、正直、いきなり等速直線運動とか慣性の法則がでてきて、なんのこっちゃさっぱりだったのを憶えている。
ニュートン力学の法則
②F=d/dt(mv)
③作用反作用の法則
ニュートンの運動の法則は、世界というのはなんとも単純な法則の上に成り立っているということを示した。
二次元上、つまり一直線に運動する物体を考てみる。
まず第一法則に従えば、加速度があるかないかによって運動を区別できる。逆に言えば、加速度のあるなしによってしか、物体の運動の種類を区別する必要はないという、シンプルな考え方だということ。静止していようが等速で動いていようが加速度がなければおなじだということ。
第二法則F=maという式が示すのは、加速度のある系にしか力は働いていない、ということ。等速直線運動をしている物体は、動いているようにみえるのにとまっている物体とおなじように力を受けてはいないという、おどろくべきことを言っている。
第三法則によれば、物体は(重力を除けば)接しているものからしか影響をうけないということ。重力はすべての物体に働くので難しく判断する必要はないし、接する物体からしか働きを受けないというのはものすごくわかりやすい考え方だ。たくさんのボールが直線上にあったとしても、あるボールの隣りにあるボールのみをみればよいというすごく楽ちんな考え方だ。
二次元上で考えるとき、向きは一方向しか考えなくて良く、第二法則と第三法則で、全ての運動を数式で記述できることになる。
ニュートンの運動法則は私達の身の回りにあるものだけでなく、地球や月などの惑星にも適用できた。ケプラーは惑星の運動にはわたしたちの日常とはちがう特殊な法則があると考えたが、ニュートンは、私達の身の回りと同じ法則によって動いていること(世界の一般法則があること)を示したのだ。
ニュートンの功績は、当時において「数学で世界を支配する法則を示した」という点にある。もはやこれ以上物理で新しい発見はないだろうという諦めすら生んだのだから凄まじい。
流体力学のオイラーの法則やナビエ・ストークス方程式、熱力学の分子運動論も、おおざっぱにみると、ニュートンの法則を流体や熱に適用したものといえる。高度な数学技法を用いて解析力学というものができたが、これはニュートン力学の思想を他の方法で記述したものに過ぎない。
ちなみに蛇足だけど、ニュートンはかなりの変人としても知られている。変人だったときくとなんか和むのは僕だけだろうか。