地図とコンパス

人はときに美しいと思える瞬間に出会うこともあります。人生の地図とコンパスをつくっていきましょう。

正直言うと、人生はつらいことばかりだ。

正直言うと、人生はつらいことばかりだ。

なぜなら、人間は恒常性(ホメオスタシス)を好むのに対して、外界は常に変化し続けるものだからだ。

人間は体内の環境を一定に保つようにできていることが知られている。外界が変化しても、フィードバック制御を行うことで体内環境は一定に保たれる。しかし、その制御を行う時、人間はエネルギーを必要とする。風邪の時に熱が出るようなものだ。そして人間はストレスを感じる。

精神にも同じことが言えるだろう。感情を制御する脳内物質の分泌が一定に保たれているとき、人間は大きなストレスを感じない。しかし、予期せぬ出来事で脳内物質の分泌量を制御するシステムにノイズが入ると、人間はストレスを感じる。恋人からの突然の別れ話に、ショックを受けない人がいないように。

 

対して、外界(自然界)は変化し続ける。同じ毎日が続くようにみえて、刻々と変化している。科学的には、俗に言うエントロピー増大の法則によっても説明できるし、カオス理論や非決定論によっても説明できるだろう。

人間関係も常に変化する。昨日の上司(部下)と今日の上司(部下)が別人にみえて、大きなストレスを感じることがある。人間は常に変化している。DNAの設計図に従って身体は新しく作り直されている。精神も変化している。睡眠によって記憶が毎日更新されるから。

 

恒常性を求める人間は、変化し続ける世界に生きる限り、つらいことから逃れられない。

だけど、その事実を悲観することはない。恒常性の獲得こそが生きるということであり、人をワクワクさせる原動力だからだ。