地図とコンパス

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人工知能と製造業(インダストリー4.0に関するメモ)

ここ最近、人工知能に関する話題が増えている。ある経営者はこれからは人工知能の時代になると言っているし、テレビのバラエティ番組なんかでも扱われることが増えて、なんだかすごくホットなワードになっている。

自分は一応製造業に分類される職業についているので人工知能が産業に登場するとなると、製造業がどう変わるのかという点が気になってくる。日本の産業の中でモノづくりはとても重要な位置にあるし、人工知能のモノづくりへの影響を知っておくは、日本の将来を見通す上で役にも立つだろう。

人工知能と製造業をキーワードに検索すると、ドイツが政策として主導している「インダストリー4.0」が出てくる。

僕の会社でもドイツメーカの設備を導入したり、技術視察にいくことが多い。ちらっとドイツ製の設備をみた時、ドイツの技術は洗練されていて、発想、そして発想を創造する力がすごいなと思ったことを憶えている。日本と並ぶモノづくり大国、ドイツの例は見習うべきことが多いだろう。

そこで「インダストリー4.0」についてちょっと調べてみることにした。

※インターネットで一、二時間調べて、僕がなんとなく理解できたものを抽出して書いているだけなので、ここに書かれている情報を鵜呑みにすることはしないでください。

 

インダストリー4.0とは  (参考[1][3])

  • ドイツ連邦政府の研究開発の包括的な戦略である「ハイテク戦略2020」の中の「10のアクションプラン」のうちのひとつ。
  • 産官学一体となってプロジェクトを進めている。組織の垣根をこえてこのような大きなプロジェクトを進めること自体画期的である。
  • IOTで得られたデータをCPS(Cyber-Physical Systems)と呼ばれるシステムにより解析し、製造にフィードバックすることで「考える工場(スマートファクトリー)」の創造を目指す。
  • 考える工場により、多品種を大量生産する「マス・カスタマイゼーション」が実現する。

 

CPSに関しては、用語がよくわからないのでいまいち理解できていないが、

「IOTにより得られたビッグデータを解析し、資材調達・生産・流通含めて最適化をするシステム」

というふうに捉えている。

おそらく、このCPSというものが人工知能が担う主機能ということになるのだろう。

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【図解】コレ1枚でわかるサイバーフィジカル・システム:ITソリューション塾:オルタナティブ・ブログ

 

 

 

マス・カスタマイゼーションとは、文字通り「カスタムメイド製品を大量に生産する生産方式」だ。

フォードは、商品をT型フォードのみとし長期に渡り大量生産する「フォード型生産方式」(大量生産)で爆発的な売上を得た。トヨタは、多品種を低価格で生産する「トヨタ生産方式」により世界的メーカーとなった。トヨタ生産方式はライン生産を用いることで大量生産をおこなっているため、柔軟なカスタムメイドをしにくい。

マス・カスタマイゼーションでは、高度に共通化した部品を用いることで、個別のニーズに柔軟に対応し効率よく生産することができる。

 

なぜドイツはインダストリー4.0を進めているのか (参考[1][2])

  • ドイツでは就業人口の5割を製造業が占めており、製造業は基幹産業である。近年、世界の工場として技術力をつけている新興国に負けないためには、ドイツ製造業の国際的競争力を高めることが必要。その鍵が第四次産業革命をもたらすインダストリー4.0である。
  • ドイツでも少子高齢化が進んでおり、少ない労働人口で経済効果をあげることが必要。インダストリー4.0は「無人の工場」をつくるといわれているように、労働人口の減少に対応できる。
  • 人工知能による生産効率の最適化により省エネルギーを実現し、環境問題に対応する。

 

具体的にモノづくりはどうなる? (参考[4])

  • マス・カスタマイゼーションにより商品のバリエーションが増える。また、高度に共通化した部品の開発が進む。
  • 第三次産業革命は、マイクロエレクトロニクス(PC、FA、マシニングセンタetc)によって製造者がロボットに代替された。インダストリー4.0では、製造計画をたてる人、発注や受注を行う人も人工知能にとってかわられ、「無人の工場」となるといわれている。
  • 「無人の工場」により、製造業従事者の労働環境がかわる。

 

課題 (参考[1])

  • モノやサービスをインターネットでつなげるための通信方式の標準化。
  • 工場が外部のネットワークとつながることによるサイバー攻撃への対処。

 

 

夢物語を謳ったプロパガンダだとしても、ドイツは産官学連携で製造業に革命を起こすつもりになっているらしい。反面、日本政府は製造業をどうしていきたいのか、どんな政策をしているのか気になった。

現在、日本のロボット産業はおそらく世界一である。IT分野ではアメリカにプラットフォームをとられてしまったが、モノづくりにおいてもITとの連携が進む中、世界に遅れをとらないようにしたい。

産業構造は、技術の革新に伴い資本主義社会における消費者の本質的行動である”良い物を安く”のながれにのっとているのだなあと感じる。

人工知能の具体的な機能・役割がいまいちみえない。ニッポンのジレンマで話されていたように、今のロボットはエビの殻剥きですら人間のように作業することはできない。ディープラーニングによりそうした作業がロボットでもできるようになるのか、ということを知りたいと思った。

ネットや本の資料をよんでいると、インダストリー4.0による経済効果や華やかな技術に目がいきがちだが、本当に大事なのは人間の生活がどう変わるかだ。「スマートファクトリー」の実現により働く人が時間と場所に縛られずに働けるようになれば、創造的な生活を送る手助けとなる。僕は、そうした創造的な生活をの実現のために産業構造が進展していくことを期待する。

 

 

参考

[1]

www.newsdigest.de

[2]

マス・カスタマイゼーションとものづくりの未来 (2/4) | Telescope Magazine


[3]

www.sbbit.jp

 

[4] 第4の産業革命 森永卓郎 - YouTube