地図とコンパス

人はときに美しいと思える瞬間に出会うこともあります。人生の地図とコンパスをつくっていきましょう。

【雑感】ニッポンのジレンマ 元旦スペシャル”競争”と”共生”のジレンマ 

 5年前の第一回の放送から毎年正月にこの番組を見ることが恒例になっている。最初にこの番組を観た時、僕は大学1年生だった。第一回は、猪子さん、安藤さんや駒崎さんなどが出ていて、今思うとそうそうたるメンバーだったなと思う。当時、自分とそう歳の離れていない人達がはっきりとした物言いをしているのをみて刺激を受けるとともに、少年のように憧れを抱いた。自分はあと数年でこの人達のようになれるだろうか、誰かに自分の意見を求められる人物になれるだろうか、この場に出ている人達のようにはっきりした立場にいる存在感のある人間になりたい、と将来への期待を抱いた。

今の僕はそのなりたいと思っていた人物になれているだろうか。正直、5年前からあまり変わっていないようにみえる。人を引き付けるような背景のある立場にいるわけでもないし、はっきりとした意見をもっているわけでもない。今年も正月を迎えこの番組を観て改めて刺激を受けた。

 

この番組の出演者はいつも理系に対して文系の学者が多い。毎回、IT業界を代表とする理系畑の人達と学者達との議論が噛み合っていない印象をうける。学者は日々論文や学会を通して論理的思考力が鍛えられているだけあって言葉が的確だし批判に耐えられるだけの論拠をもって発言している。文系の学者の仕事は過去の出来事について再定義し、理論を構築するというのが日々の仕事になっているようなわけで、このような討論番組でも未来像を描くというより言葉の定義を言い争っていることが多いようにみえる。一方、理系の代表であるIT業界の人達の発言は、夢物語であってもテクノロジーの進化から期待される将来の姿を語る。学者はジョークでしか夢物語を語ることはできない。論拠のない推測を安易に行うと職を失う可能性だってある。だからIT業界の人達と学者の議論は噛み合わない。個人的には、理系の人の話す夢物語を聞くほうが希望や好奇心を満たされるので好きだ。理系の技術者にもっと出演してもらうことを期待している。

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