村上隆の五百羅漢図展【出来事】
先日、東京へ行ったついでに村上隆の美術展を観た。
今まで西洋の画家の美術展を数回行ったことがあるが、正直いくら背景や技術を説明されても作品のどこがすごいのか、なぜ価値があるのかピンとこなかった。さも関心したように絵やオブジェを眺めて、そうかこれがすごいものなのかと自分を無理矢理納得させていたような感じだった。
しかし、村上隆の仰々しい羅漢の絵をみたとき、芸術の価値というものが少しだけわかった気がした。僕はあの羅漢の絵を見た後、もう一度じっくり眺めてみたいと思った。それまで西洋の画家の美術展に行ったときには感じなかった感想だった*1。どうやって作り上げられているのか、あの線一本はなぜ書かれているのか知りたいと思った。美しいものを観たときに感じる感動とは異なる。ただ、どうして?なぜ?そんなものがここにあるのかということを、ただ知りたいという感じだ。そしてその欲求こそが芸術の価値を生みだすのだと思った。未知との遭遇のようなものだろうか。自分では創り出すことができないものに対する憧憬ともいえるだろうか。あんな変な絵を描きながら、美術作家として第一線で活躍する村上隆に対する好奇心だろうか。
僕は芸術作品の価値をつくりだしたのだ。そのとき初めて、なぜ芸術が価値をもつのかがわかった。
ただ、くだけた感想をいうと、あんな一見わけのわからない妖怪みたいのものを大人たちが関心したように眺めている美術展の様子はなんだかシュールで、そんな雰囲気のほうが面白くて楽しめると思う。