僕らの行く道

若者の若者による若者のためのブログ

【本の紹介】コンビニ人間 / 村田沙耶香

最近、村田さんの著作にハマっている。

とても読みやすいナチュラルな文体、社会に違和感を抱く主人公。そしてクレイジー。

今まで、最近の作家さんの本は敬遠して読んでこなかったが、ちゃんと現代の日本文学は面白いんだな、というのがわかってよかった。

 

コンビニ人間」。

村田さんは太宰治著の「人間失格」に影響を受けてこの本を書いているんだろうなと感じた。だから、「人間失格」にドンピシャで影響を受けた僕にとって、「コンビニ人間」が面白くないはずがない。

 

主人公は発達障害だ、と言っている書評をみかけた。僕は、この本を障害者が主人公の本なんだという先入観をもって読むのはよくないと思う。世間が「普通」と呼んでいることに主人公が疑問をもつ理由を、主人公が障害者だからという点に求めるのは浅はかだ。

みんながそうしているから、それが常識だから、という価値観で多数派が少数派を排除する構造は差別の始まりだ。「普通」に疑問をもって、異質にも共感できる客観的な視点をもつことは、社会を住みやすい場所にするためにはとても重要な事だ。この本は、社会には、客観性をもたず、知らず知らずのうちに少数派という理由で異質を排除しようとする人間があまりにも多いことを訴えている。

 

僕がこのような社会への違和感を抱えてしまう人の生きづらさを描いた本を読んで思うのは、本を読んだ人が「普通」の普通でなさ、に気づき、他者にもっと寛容になってくれたらいいのにということだ。だから、主人公は発達障害サイコパスという設定だからこんなヘンテコなストーリーなんだという先入観をもって読んでほしくないのだ。主人公、「古倉恵子」はどこにでもいる、だれにでもいる。白羽はただのクズ人間ではなく、確かに彼の論理は正しいのだ。そう思ってみんなが読んでくれたら社会はもう少し寛容になれるはずだ。

 

コンビニ人間

 

【本の紹介】9プリンシプルズ / 伊藤穰一 ジェフ・ハウ

伊藤穰一さんの書いた本格的著作ということで読んでみた。伊藤さんは、学位をもたずしてMITメディアラボの所長になったという異色の経歴の持ち主だ。茂木健一郎さんは、伊藤さんを天才と呼んでいた。僕は伊藤さんには以前から注目していたので、本を読んでみることにしたのだ。

 

読んだ感想としては、非常に示唆にとんでいてウィットな表現が散りばめられた本だった。「はじめに」でも書かれているように、「9つの原理」全体を通して主張の根底にあるのは 非対称性 複雑性 不確実性の3つだ。

 

伊藤さんのブログには何度か訪れたことがあるが、正直いって読みやすい文章を書く人ではないという印象だった。ブログはもともと英語でかかれていてそれを本人または他の人が翻訳しているようだ。思考と専門用語についていけないというのもあると思うがあまり一般人にわかりやすい文章を書くタイプのひとではなさそうだなとは思っていた。

 

しかしこの本は以外に読みやすい。ITの知識がないと難しい部分はあるが、主張と根拠がまとまっているので理解し易いと感じた。文章の雰囲気としてはドーキンスの「利己的な遺伝子」のよう。知的なウィットに富んでいる。

 

9つの原理の根拠に一貫しているのは非対称性 複雑性 不確実性の3つだ。アリは、個別では単純な行動原理で動いているのに集団になると知的な生物のように振る舞う。アリに喩えられるように、インターネットが発達して個人が容易に情報をやり取りできるようになった現代では、技術革新は一部の天才ではなく、複雑性(カオス)からもたらされる。汎用人工知能(強いAI)が有名大学の研究室や大企業ではなく、学生寮の一室で密かに生み出される可能性もあるということだ。このようにどこで何が起こってもおかしくない現代では、固定観念にとらわれることのない柔軟性をもつことが重要だと書かれている。

 

この本に書かれている内容は非常に重要な示唆に富んでいるものの、話が大きすぎて実際に自分に活かせる部分は少ないと感じる。だが、自分にできることが少なくてもこの世界の加速度を減少させることにはつながらないことに気付く。私たち個人の数メートルの範囲内で起こるささいな出来事が複雑性を生み出し、全体を加速させていくから。

 

9プリンシプルズ 加速する未来で勝ち残るために (早川書房)

 

トニー・スタークに学ぶモテる男

いまだに悩む。どうすれば女の子とスマートに付き合えるようになるのかと。

女性と接する時に、ぎこちなさとか嘘をついているような感じを感じることがある。付き合っていない女性でも、付き合っている女性でも感じる。何をどう言っても、どう行動しても払拭できない。女の子と接する時の、このなんか違う感を克服しない限りはモテる男にはなれないのだろうなとはうすうす思っている。

このことで悩んでいる時に、たまたまテレビで放送されていた「アイアンマン」をみて、トニー・スタークのある台詞に、悩みを払拭する鍵をみつけた気がした。

"You know, if I were Iron Man, I'd have
this girlfriend who knew my true identity.
She'd be a wreck, 'cause she'd always
be worrying that I was going to die,
yet so proud of the man I'd become.
She'd be wildly conflicted,
which would only make her more
crazy about me."

http://www.script-o-rama.com/movie_scripts/a2/iron-man-script-transcript.html

 自分翻訳

「もし僕がアイアンマンだったら、その恋人は僕の正体をアイアンマンだと知っていることになる。彼女は気が落ち着かないだろう。だって恋人がいつ死ぬかもわからないんだから。だけど同時に、世界のために戦う彼が誇らしくもある。その狭間で彼女は悩み、どんどん彼女は僕にのめりこんでいく」

 

この台詞は、トニー・スタークの秘書(兼恋人?)である、ペッパー・ポッツの前でいわれる。

ポイントは次の点だ。

・自分の恋人が抱えるであろう悩みをユーモアを交えながらも正直に言うことで恋人の悩みを理解してあげようとしている。

・ペッパーに対して自分は恋人だと言っている。

トニー・スタークは隠そうとしていない。恋人とのネガティブな行末を。

冴えない男だったら、恋人が抱えるであろう悩みを隠そうとするかもしれない。現実に目を向けず、やさしい言葉を言ってその言葉だけで彼女の気を紛らわそうとするだろう。

トニー・スタークは状況を的確に把握して、恋人に嘘をついていないのだ。

また、ジョークっぽく言うことで、場を重くさせていない。嘘をつかずに的確に状況を恋人に伝えたとしても、ユーモアがなかったら気を滅入らせてしまうだけだ。

ペッパーとは公認の恋人どうしではないが(多分)、当たり前のように自分たちは付き合っているという前提にすることで、彼女への思いを伝えている。

そしてなによりも、この台詞を言うトニー・スタークは格好いい

自分の恋人は自分のせいでconflictするだろうなんて、当の恋人の前でなかなか言えない。

この台詞のおかげでペッパーはどれだけトニーへの不信感と不安を拭うことができただろう。

 

以上のようにポイントはいろいろあるだろうが、大事なことは、センスある言葉は男をスマートにみせる、ということだ。

針の穴を通すような絶妙な言葉が、女性と接する時のぎこちなさや嘘をついている感を払拭してくれる。正直に伝えることで、女性の男に対して抱く不信感や不安を拭い去ってくれる。正直なだけではだめで、場を壊さないためのユーモアも必要だ。トニー・スタークのようにはなれなくても、大事なことは考え抜いてセンス良く伝えることができれば、女性とスマートに接することができるのではないだろうか。